film1.「エスケープ・フロム・トゥモロー」
- セトダイスケ
- 2018年2月25日
- 読了時間: 5分
更新日:2018年2月27日

エスケイプ・フロム・トゥモロー(2013)
ESCAPE FROM TOMORROW
メディア映画上映時間90分
製作国アメリカ
映倫R15+
監督:ランディ・ムーア
脚本:ランディ・ムーア
撮影:ルーカス・リー・グレアム
音楽:アベル・コジェニオウスキ
出演:ロイ・エイブラムソン
エレナ・シューバー
カテリン・ロドリゲスジャック・ダルトン
アリソン・リーズ=テイラー
アネット・マヘンドル
おすすめ ★★★☆☆
《あらすじ》
二児の父であるジムは休暇に家族でディズニーランドとやってくる。しかしその朝、会社よりクビを宣告され、楽しいはずの時間に暗雲が立ち込める。モノレールで出会う2人組のフランス人女性、大きな宝石をつけた艶かしい人妻、企業の陰謀・・・ジムは過ごすうちに妄想(イマジネーション)と奇妙な体験に遭遇していく。
《感想》
鑑賞しに来たディズニーファンに延髄蹴りをくらわすほどの「なんやねん」映画。
最初の60分間は家族にはまってない父親がギャルのケツを追いかけてばかり。それがバレて嫁にキレられ、その後いくつか展開あるけどどれも断片的で全貌が見えない。そして、迎える唐突なラスト・・・・say なんやねん。
見た人は、ディズニー映画とは対照的な不可解で整然としない作品に困惑、怒る人もいるに違いない。予告から想定したものとはあまりにも違いすぎる。しかし「ディズニーとは対照的!?」それを意識して鑑賞するとまた違ったように見えてくる・・・これはディズニーが世界感を守る為に意図的に隠し持つ裏の世界だ。気づけば妙に気になって繰り返し見ている自分がいる。出口などないのに・・・また入場口へと並んでいる
ようこそ、【黒い】夢の国へ。
この映画の特徴は何と言っても全編ディズニーランドで撮影されたということだ。
世界一権利やイメージにうるさいディズニーがこんな奇妙で不気味な映画に撮影許可するとも思えず、はなっからゲリラ撮影で行われた。キャストに録音機器を仕込み、撮影クルーは観光客を装い入園。一眼レフカメラやiPhoneを巧妙に使い撮影された。イッツ・ア・スモールワールドに12回乗って撮影したり、撮影がバレそうになって一時騒然となったり、園内の装飾が次のシーズンになり1年後に追加撮影を行ったり、なかなか大変だったようで(楽しそうとも思える)。正直映画の概要を初めて聞いた時「この手があったか!悔しい」と思ったが、名誉毀損で訴えられる可能性が高い映画なんか相当肝が据わってないと製作なんかできない。監督あっぱれ。その勇気あるチャレンジのおかげで、本来ありえない雰囲気を漂わせるランド風景と、ゲリラ撮影での緊張感が味わえる。それだけでも、貴重な映画と言えるのではないだろうか。
この映画を「どんな映画?」と聞かれたらこう言いたい。
「予告編を見てどんな映画だと思った?うん、そんな映画」と。
質問に質問返し。もし彼女にこんな返答されたら嫌われますw。えぇ、えぇ、気持ちは分かります。ですが、つまりこうです
”妄想(イマジネーション)せよ”
この映画では”妄想”がキーワードになっています。
主人公は妄想に翻弄させられ、終盤では妄想の力をウォルト・ディズニーと比較される場面もあります。この映画の中には様々な反ディズニー的で魅力溢れるエピソードが登場します。2人のフランス人美女(エロい)、魅惑の宝石をつける子持ちの女(エロい)、猫インフルエンザ(ファ!)、プリンセス×ヴィラン、SIEMENSの施設・・・それらは本来ディズニーが隠しているSEX、都市伝説、陰謀、などのダークサイドのイマジネーション。ひとつひとつは面白くなりそうなのに、それらの伏線は全くもって回収する気無しw!!なのに、最後はチャンチャン♪謎のハッピーエンドだよー的な感じで終わります。難解映画にありがちな、見た側に判断を委ねているパターンのやつなのです。パッと見はよく分からず意味不明。いくつかをつなげて解釈もできなくはないし、一つ一つ想像する事もできる。まぁ、普通の映画ならこんな作りにムッとするところですがw、この映画は妄想がテーマであり、それはウォルトの人間性、そしてディズニーの源でもあるでしょうから、甘んじて受け入れないといけない気になるのです。
そう言う意味では、情報量の多かれ少なかれあれど予告編のシーンの断片から妄想するというのも、あながち間違ってないでしょ?しかも、予告編がめちゃくちゃおもしろそうなんだわ、ぶっちゃけ本編見なくてもいいくらいw。
「ディズニーランドは夢の国なんだよーー」
女子はこう言って、何度となく通う訳ですがw。確かに、ディズニーランドの世界観の作り方はヤヴァイです。混んでるからヤダ派の私も初めてディズニー・シーに行った時は度肝を抜かれました。ただ、どうでしょう。出来過ぎた夢の国であるがゆえに、イマジネーションを忘れてないかと。本来、妄想の産物として形作っているはずの夢の国が、人工的にそしてあまりに緻密に作られてるため、イマジネーションを失ってるのではないか・・・いや、むしろ制限されているのではないかと。ディズニーの世界ではSEXや陰謀というイメージは意図的に封じられてる訳ですが、それらは人間の根元に近い想像のはず何ですよね。
万人にオススメできる作品ではないですが、
非公式ではありますが紛れもなくディズニー映画!暗黒面を引き出してウォルト本来のスピリッツを体現しようと試みた実験的な作品だと思います。ゲリラ魂もリスペクトです。どこかの映画祭で公開された時、聞きつけたディズニー側の弁護士も鑑賞したと言われてますが、この作品は今現在も訴えられることはなくディズニー側は沈黙を通しています。それは監督のディズニーへの愛が伝わったのか・・・この程度相手じゃないと判断されたのか。どちらか皆さんも確認して見てはいかがでしょうか?
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